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「現代の批判」 キルケゴール

「現代は本質的に分別の時代、反省の時代、情熱のない時代であり、束の間の感激にぱっと燃え上がっても、やがて小賢しく無感動の状態におさまってしまうといった時代である。(中略)個人も世代も、たえず思い思いの方向に向かって進み、お互いに角つきあわせて妨害しあっている。それだから、告発者たろうとする者が、なんらかの事実を確証しようと思っても、不可能なことだろう。事実など何もないからである。兆候だけならありあまるほどあるので、その兆候を見ていると、なにか異常なことがすでに起こっているか、あるいはいまにも起こるだろうと、推論せずにはいられないであろう。けれどもそう推論するのは間違いだろう。それらの兆候こそ実は現代が精いっぱいの力を発揮した、たったひとつの結果にほかならないからである。(中略)こうして現代は、本性の知れぬ骨折りに疲れはてて、しばし完全な無感動の状態に落ち着いてしまう。(中略)惰性、これが現代の逃げ口上の根底にあるものであって、情熱をもたない現代のだれもが、自分こそその最初の発明者だと自画自賛し、こうしてますます利口になるわけだ。革命の時代には武器が無料で配布されたし、十字軍の時代には従軍の徽章が公然と授けられたものだが、現代ではいたるところで、処世宝典とか諸事便覧とかの類が無料でサービスされる。大事件が起こるのを絶えず阻止しておきながら、そのくせまるで大事件がおこりつつあるかのように絶えず見せかけておくという風にしてときを稼ぐということが、・・・・(後略)」(キルケゴール)

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19世紀中頃に書かれた、評論ですが、まるで現代の日本について書かれているようにさえ思えます。上記にある大事件とは、近頃起こる三面記事的事件ではなく、政治的革命であるようです。このような事件は、情熱を要すものであるが、現代にはこのような情熱はなく、ただ、もっともらしい兆候だけがあるといいます。

大変だ、大変だ、マスコミ等で聞くけれどもその具体的なところは分からぬままに漠然と私たちは常に大変なように思っています。では具体的に何が?といいますと、はて?物価が上がるからでしょうか?教育水準が下がっているからでしょうか?税金が保険料が高いからでしょうか?物質的な現象が改善されたら、はたして、大変ではなくなるのでしょうか?本質は、私たちの「行動しないでいたのがやっぱりいちばん賢明なのだ」という現代の無感動の中に、知らぬ間におさめられ、惰性で生かされて、没個性にさせられているところに、問題があるようにも思えます。

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