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「様々なる意匠」小林秀雄より

「芸術家達のどんなに純粋な仕事でも、科学者が純粋な水と呼ぶ意味で純粋なものはない。彼等の仕事は常に、種々の色彩、種々の陰翳を擁して豊富である。この豊富性の為に、私は、彼等の作品から思うところを抽象することができる、と言う事は又何を抽象しても何物かが残るという事だ。この豊富性の裡を彷徨して、私は、その作家の思想を完全に了解したと信ずる。その途端、不思議な角度から、新しい思想の断片が私を見る。見られたが最後、断片はもはや断片ではない、忽ち拡大して、今了解した私の思想を呑んで了うという事が起る。」 (小林秀雄)

31462001

優れた芸術作品を批評するとき、批評家もそれを読む読者も、批評家によって表現された内容が、さも真実であるかのように感じます。しかし、それはあくまでも作品の断片であると小林氏は言います。優れた作品であればあるほど、新しい断片が現れそれが拡大して、もはや断片とは言えないほど膨らむ。ですから、批評には芸術作品を捉えて、しかし捉えきれないもどかしさがあるのでしょうね。それを理解しながら読者も読むべきですね

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