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「夏の花」原民喜より

「そして、赤むけの膨れ上がった屍体がところどころに配置されていた。これは精密巧緻な方法で実現された新地獄に違いなく、ここではすべて人間的なものは抹殺され、たとえば屍体の表情にしたところで、何か模型的な機械的なものに置換えられているのあった。苦悶の一瞬足掻いて硬直したらしい肢体は一種の妖しいリズムを含んでいる。電線の乱れ落ちた線や、おびただしい破片で、虚無の中に痙攣的の図案が感じられる。」    (原民喜)

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これは広島原爆の惨状を描写したくだりです。あまりの熱に人々が、苦悶したまま硬直した、その辺りの状況が生々しく伝わってきます。・・・・・・。戦争は誰が、何のために、為さなければならないのでしょうか。この小説のなかで、「兵隊になられたら。馬鹿になりなさいよ、ものを考えてはいけませんよ」と息子にいいきかすようにいいだした。という一節があります。戦争を端的に定義付けている気がします。

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