« チェーホフ「ともしび」より | トップページ | 司馬遼太郎「ある運命について」より »

石川淳「模倣の効用」より

「ヒョウセツが悪徳だというのは、じつにこれ愚劣だからだよ。しかし芸術上の方法についていえば、厳密には方法を盗むということはまあできない相談だね。作者みずから意識しないような方法を、他人が意識的に盗むとはどういうことか。いや、どういうことでもない、単に無意味だよ。」(石川淳)

31785756

たしか、石川氏がおっしゃるには、芸術は精神が創り上げるものだから、ヒョウセツするといっても、原作の精神までは盗むことはできないので、その技術上のことに過ぎない、との趣旨だったろうと思います。芸術は精神の赴くまま、その精神によって方法が形作られるとすれば、たしかに方法を真似ることは、無理でしょう。私たちが、いくら他人の気持ちを慮って、その感動を共有できたとしても、その他人ではありませんから、あくまでも近似値に過ぎません。高い精神性をもった芸術ほど、その方法のヒョウセツは無意味なのでしょうね。

|

« チェーホフ「ともしび」より | トップページ | 司馬遼太郎「ある運命について」より »

書籍・雑誌」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/472526/9254009

この記事へのトラックバック一覧です: 石川淳「模倣の効用」より:

« チェーホフ「ともしび」より | トップページ | 司馬遼太郎「ある運命について」より »