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「沈黙」遠藤周作より

「罪は、普通考えられるように、盗んだり、嘘言をついたるすることではなかった。罪とは人がもう一人の人間の人生の上を通過しながら、自分がそこに残した痕跡を忘れることだった。」(遠藤周作)

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私たちが罪という言葉を用いるとき、おそらく犯罪を思い描いていますね。しかし、狐狸庵先生の仰る罪は、内面の罪、心の罪とでもいいますか、目に見えない罪ですね。たとえば人を疵付けてしまう場合、悪意をもって積極的に誹謗中傷するときと、完全に無関心であるときとが、あるように思います。もちろん、どちらも、被害者側にとっては、辛い経験ですが、誹謗中傷には、疵付ける側に相手を疵付けるという認識があります。しかし、無関心であることは、疵付ける側に認識がない分だけ、繊細な問題のように思えます。知らぬ間に相手が怒っていたという経験を、多かれ少なかれ、誰しももっていると思います。ある人とのわずかな時間の出会いでさえ、私たちはお互い、痕跡を残し合っているんでしょう。その痕跡を記憶の小さな滲みでもいいですから、認識しておきたいものです。それが、優しさであり、思いやりなのだと思います。

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